世の中に出回るすべての「商品」は、含まれている原材料や商品特性を消費者に的確に伝えるため「表示」が義務付けられています。6次産業に携わる人であれば、加工した農産物や食品に「食品表示」などが身近な表示になるのではないでしょうか。農産物においては、どのような製法で農作物がつくられたのかを示す表示も必要です。
そんな中、自然環境に配慮した生産への関心や消費者の食に対する安全・安心志向の高まりから「有機」に注目が集まっています。有機農法でつくられたことをアピールするためには、第三者機関の認証を受け「有機JASマーク」を表示しなければなりません。
有機栽培と特別栽培の違い
「有機栽培」は化学農薬・化学肥料を使用しないことが原則として挙げられていますが、「特別栽培」の場合は、化学農薬・化学肥料を減らすことが目的となっています。
また「有機栽培」はCODEX(国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)合同の食品企画委員会)の表示に基づいた原則や、認証システムが組まれていますが、「特別栽培」には国際的な取り組みがありません。
IP(Integrated Product)と呼ばれる似たような取り組みはあるものの、それらのテーマは農薬の削減と労働力を減らすことであり、遺伝子組み換え技術の利用が選択肢として加えられているため、日本でいう「特別栽培」とは少々意味合いが違います。
また日本で「特別栽培農産物」と呼ばれるものは、かつては以下のように細かく区分されていました。
無農薬栽培農産物→栽培期間中、農薬を使用しない
無化学肥料栽培農産物→化学肥料を使用しない
減農薬栽培農産物→化学合成農薬の使用回数をその地域で使われている回数の5割以下に削減して栽培
減化学肥料栽培農産物→化学肥料の使用回数をその地域で使われている量の5割以下に削減して栽培
「特別栽培農産物」と挙げられるものの中には、消費者からの関心が高まっている「農薬を使わずに育てた野菜」も加わります。ただし「特別栽培農産物」に含まれる栽培方法は、表示方法に注意しなければなりません。